◆残業
所定労働時間を超えて働く場合も社内的には残業ですが、1日8時間、週40時間内の部分は法律上の時間外労働ではないため、割増しとなる残業代を支払う義務はありません。
しかし、法律上の時間外労働を超えた場合は,所定賃金を一定割合で乗じた金銭=割増賃金を支払わなければならないとされています。
◆OECDが行った調査によると、日本の1年間の労働時間は世界で15位だった
経済協力開発機構(OECD)が行った「2012年の年間労働時間」に関する調査によると、加盟国34カ国のうち、労働時間が多い国ランキングで日本は15位だったことがわかった。
1位は「メキシコ」で2,226時間!2位は「韓国」(2,163時間)、3位「ギリシャ」(2,034時間)、4位「チリ」(2,029時間)といずれも年間2,000時間超が続きます。
各国の1日あたりの労働時間が示されていないため、比較できないのが残念ですが、日本はOECD加盟国の平均値(1年間で平均1,765時間)を若干下回っています。
◆しかし、このデータはサービス残業を含めていない
3ヵ国の男性で比較すると、自宅を出る時刻や出社時刻にはほとんど差がない。ところが、帰宅時刻になると2時間近い差が生じてしまう(法定労働時間は日本・アメリカは週40時間、フランスは35時間)。
一番大きい差は残業時間であって、日本はアメリカやフランスの3倍近い残業を行っていることがわかります。つまり、日本の長時間労働の主たる原因は残業にあると言っていいでしょう
◆なぜこんなにも残業が多いのか?
実は日本の長時間労働の問題はある一定の層に集中しています。それが「大卒、ホワイトカラーの男性」です。
日本のホワイトカラーは多くの場合、業務内容が明確ではないままに雇われています。つまり、「人に仕事をつける」ようになっている。営業だった人が、いきなり管理部門に異動なんてことも普通にあります。
また、ある仕事を終わらせても、すぐに上司から「これもやっておいてよ」と、別の仕事を振られるといったこともよくあります。すると仕事の範囲が無限に広がっていき、終わりが見えなくなります。
◆残業が減らない一番の要因は、金銭面でしょう
そもそもの基本給が少なくて、残業をしないと満足した生活すら出来ない賃金形態を取っている会社や業界があります。
サラリーマンにとって、残業代は生活の糧(かて)である。私は大企業に勤めているが、「残業しないと生活できない」という既婚者がほとんどである。
また、生活苦から転職を余儀なくされる若手社員が増えてきます。
◆また、残業に対するイメージの違いも大きな要因です
朝早く出勤して残業をしないという人だけでなく、残った仕事を家に持ち帰る人も多いです。
例えば、世界的に見てもワーク・ライフ・バランスが取れている国と言われるオーストラリアでは、定時が過ぎても会社に残って仕事をしている人には「時間内に与えられた仕事すらこなせない能力がない人」というレッテルが張られます。
そして、そうした人が続出する企業は「労務管理すらまともにできない企業」という悪評が立ちます。
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