◆熱中症は、「気温」だけでなく「湿度」も深く関係している
熱中症が発生する主な時期は6〜9月。救急搬送患者数は2010年から急増していて、全国レベルでは毎年4万人以上※1。気温や湿度が上がると発症しやすくなるので注意と対策が必要です。
熱中症は太陽照りつける真夏に起こる病気だ、と思われがちですが、実は高温多湿となる梅雨の時期から注意が必要なのです。
気温30度、湿度60%という環境基準のどちらかが上回ると、急激に熱中症が増えることがわかっています。天気予報で、お住まいの地域の最高気温が30度を超えるようでしたら、特に警戒しなくてはいけません
同じ気温の場合、湿度が高くなるほど熱中症の危険が高くなるということです。
たとえ気温が22~23℃であっても、湿度が高い場合は熱中症になることがあるので注意しなければいけません。
◆実は、「室内」での熱中症が断トツに多い
とくに湿度の高いときに注意したいのが、室内での熱中症です。
ここ数年、室内や夜間の熱中症で救急搬送される人が増えているのです。
熱中症を発症する場面といえば、野外のグラウンドなどの暑い場所が思い浮かびますが、実は「自宅」で発症する人の割合が一番多いのです。
屋内であっても、換気が悪いと湿気がこもりやすく、サウナや岩盤浴のような状態になることがあります。こういう状況で扇風機をつけても、熱い空気がかき回されるだけで温度は下がりません。クーラーでしっかり冷やしましょう
◆何で湿度が高いと熱中症になりやすいのか
熱が体内にこもってしまうと、外へ熱を逃がすために人間の体は血液を体の表面に集めたり、発汗します。しかし、湿度が高いと汗が乾きにくく、放熱が阻害されてしまうため熱中症発症の危険性が大きくなってしまうのです。これは気温が同じ、もしくは低かったとしても湿度が高いと危険度が上がります。
湿度が高いと、汗が蒸発せずに体に熱がこもり、体温が下がりにくくなる傾向があります。すると体内の水分や塩分のバランスが崩れ、めまいやけいれんなど様々な熱中症の症状が起こってしまうのです。
つまり、湿度が低いカラッとした天候では、汗をかいてもすぐに蒸発してかわくので、体の熱を発散することができます。
◆小さい子供や高齢者の方がいる家庭は熱中症になりやすい気候か随時確認を!
乳幼児
体温調節機能が未熟なため暑さに対する抵抗力が低く、自分では対処ができません。
高齢者
暑さを感じる感覚が弱くなり、暑さ対策の行動が遅れがちに。体温の調節機能も低下しています。
WBGTが28℃を超えると熱中症の発生率が急増します。
熱中症を予防することを目的として1954年にアメリカで提案された指標です。 単位は気温と同じ摂氏度(℃)で示されますが、その値は気温とは異なります。暑さ指数(WBGT)は人体と外気との熱のやりとり(熱収支)に着目した指標で、人体の熱収支に与える影響の大きい ①湿度、 ②日射・輻射(ふくしゃ)など周辺の熱環境、 ③気温の3つを取り入れた指標です。
■WBGT値の計算式■
【室内もしくは室外で日光照射の無い場合】
WBGT=0.7×湿球温度+0.3×黒球温度
【室外で日光照射のある場合】
WBGT=0.7×湿球温度+0.2×黒球温度+0.1×乾球温度
通常の天気予報で発表される気温は一定の気流のもと、日陰で測定されているので注意しましょう。
◆過信せず、万全の「熱中症対策」を
湿度の高いときは、窓を開けて換気をしたり、エアコンをかけて除湿をするなど、湿度を下げることです。扇風機と併用して節電しながら湿度や温度の調節をしましょう!
お年寄りほどクーラーの風は体に悪いという思い込みがあって、しっかりクーラーを使っていない人が多いのです。ろくに眠れずに、脱水症状になりかけたまま朝一番の畑仕事に出て倒れて見つかるという人もいます。とにかく、しっかりクーラーを使って体を冷やしましょう
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