ハーモニカはジャズも演奏できます
「クロマチックハーモニカ」とは、♯や♭といった派生音を出す事ができるハーモニカの事を言います。半音階を演奏できる事から、「クロマチック(Chromatic=半音階の)」という名前がついています。
クロマチックハーモニカの知名度はあまりないけど、
「クロマチックハーモニカって?」
と聞かれたら、「ボタンが一つついてるハーモニカで、全音階が出せて、ジャズとかやる楽器」という説明が多いと思います。
スライドレバーで半音シャープできる構造で12音階を演奏でき、あらゆる調の演奏が可能です。
より一般的な「ブルースハープ(=ダイアトニックハーモニカ)」はダイアトニックスケール、つまり「ドレミファソラシド」しか音を出すことができませんが、このクロマチックハーモニカはレバーを操作することにより、12音階の全てを正確に表現できます。
たとえば、左端の最低音では、吹くとド、吸うとレが鳴らせます。さらに右端にあるスライドレバーを押すと上の層から下の層に切り替わり、吹くとド♯、吸うとレ♯が鳴らせます。
近年、インターネットで動画などが投稿されるようになった影響で、特徴ある音色にひかれてクロマチックハーモニカを始める人は増えています。
ジャズハーモニカの名手たち
ハーモニカはジャズの世界では希少価値である。ハーモニカの演奏特性として「吹くだけでなく吸うことも同じようにしなければいけない」ということがなかなか難しい、とのこと。
逆に、有利なところはやっぱり「泣ける」音を出せるというところ。口に一番近いところで全てを演奏する楽器ですから、口で言いたいことが伝わりやすい。
ブルースやロックではなじみの深い楽器のハーモニカ。ジャズの世界でも、とびきりの名人がいることをご存じですか。
ジャズハーモニカの創始者、トゥーツ・シールマンス
本名、Jean-Baptiste Frédéric Isidore “Toots” Thielemans
1922年4月29日 – 2016年8月22日
ベルギー・ブリュッセル出身のジャズ・ハーモニカ奏者。
当初はギタリストとして音楽活動を開始したが、ハーモニカ演奏の方が話題になり現在ではジャズハーモニカの創始者として知られています。
クロマティック・ハーモニカで一時代を築いた名手
ジャズ・ハーモニカというジャンルはズバリ言ってトゥーツ・シールマンスのためにあるようなものです。
ハーモニカという楽器をジャズに持ち込んだのはおそらくこの人だと断言できるでしょう。
彼は最小楽器を自在に扱い心ゆくまで唄わせ、多くの人の心を捉えてしまう最大の成果を引き出した音楽の達人であり、ジャズだけでなくポップスやロックなど、世界中の様々な分野のミュージシャンやシンガー達からこよなく愛され(あのジョン・レノンも影響を受けたとされる)、自身のアルバムのゲストに迎えようと図った垂涎の人でもあり、いま注目のグレゴリー・マレットを始め、内外のジャズ・ハーモニカ奏者のほぼ全員が、その薫陶を受けているとも言える偉大な存在でもあった。
トゥーツ・シールマンスのギター(リッケンバッカー)やハーモニカは、ビートルズのジョン・レノンにも大いに影響を与えています。
ピアニストのケニー・ワーナーとのデュオでジャズスタンダード「酒と薔薇の日々」
ブラジルで絶大な人気を誇った早世の歌手、エリス・ヘジーナとの共演。
ボサノヴァの創始者、アントニオ・カルロス・ジョビンの代表曲「Wave」。
不動の人気。現代最高のハーモニカ奏者、グレゴア・マレ
ジャズ・ミュージシャンの父とアフリカ系アメリカ人の母の音楽的影響を受け、17歳でハーモニカ演奏を開始。ジュネーヴ音楽院卒業後に米・ニューヨークへ移り、ニュースクール大学ジャズ&コンテンポラリー・ミュージックで学ぶ。その後、人気ハーモニカ奏者へと成長。
ジャズ・フュージョン、ワールドミュージック等、あらゆるジャンルを演奏しながらも、その全てにおいて独自の存在感を放つ希代の名手。
ジャッキー・テラソン、ミシェル・ンデゲオチェロ、カサンドラ・ウィルソン、スティーヴ・コールマン、パット・メセニー、マーカス・ミラー、リチャード・ボナ、等々。彼は小さな楽器で雄弁に、艶や奥行きを表現に与えていた。
錚々たる面子との共演を果たしています。
イタリアの天才ピアニスト、アントニオ・ファラオとの共演でスタンダード曲「枯葉」。
世界的にも珍しいラテン・ジャズ・ハープ奏者、エドマール・カスタネーダとの共演。
楽曲はジャズスタンダードの「枯葉」
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