◆90年代、ドラマから大ヒット曲が多数生まれた
『あすなろ白書』(1993)
原作:柴門ふみ
脚本:北川悦吏子
出演:石田ひかり、筒井道隆、木村拓哉(SMAP)、鈴木杏樹、西島秀俊
主題歌:藤井フミヤ「TRUE LOVE」
平均視聴率:27.0%
チェッカーズを離れた藤井のソロ第一弾は200万枚を超える大ヒット
90年代前半はドラマ主題歌・挿入歌のミリオンヒット続出、ダブルミリオンも珍しくない“ドラマ主題歌バブル”期に突入した。90年代の大ヒット曲はすべてドラマ発といっても過言ではない。
当時は主題歌をオファーするにあたって、ドラマの脚本を持っていって、内容にそった曲を依頼していた。だから、脚本と曲の内容がぴったりと合っていて相剰効果が生まれたのである。
名ドラマにはそれを支える名曲・名フレーズが必ずと言っていいほど存在し、印象的なシーンで流れることによって作品の良さがより際立つという結びつきが生まれ、それが国民的ヒットの条件の一つにもなっていた。
◆近年はタイアップ乱発でドラマからのヒット曲が生まれにくい傾向
『突然ですが、明日結婚します』(2017)
原作:宮園いづみ
脚本:山室有紀子、倉光泰子
出演:西内まりや、山村隆太(flumpool)
主題歌:西内まりや「Motion」
平均視聴率:6.7%
主演俳優が主題歌を担当するパターンも多い
ところが2010年以降となると、そうした“ドラマからのヒット”は一気に影を潜める。
タイアップの乱発。この乱発によって、極端な話、内容に関係なく、とにかく曲にタイアップをつけてしまえ、という傾向が強くなっていった。既にありものの曲に、ドラマのタイアップをはめこむものだから、チグハグさが如実になってしまったのだ。
ドラマ主題歌からヒットがなかなか生まれなかった原因。それは“タイアップ=ヒット”という図式に頼るあまりに、ドラマと主題歌が乖離していたからではないだろうか。
◆そんな中、ドラマ内容と歌詞がリンクする「Lemon」が大ヒット
『アンナチュラル』(2018年1月期)
脚本:野木亜紀子
出演:石原さとみ、井浦新、窪田正孝、市川実日子、薬師丸ひろ子、松重豊
主題歌:米津玄師「Lemon」
TBS金曜ドラマ『アンナチュラル』主題歌のMV「Lemon」がオリコンデジタル史上初の100万DL突破、YouTubeでのMVが1億5000万再生越えなど、記録的なヒットを続けている米津玄師さん。
書き下ろした歌詞は、喪失感と切なさ、ほんの少しの救いを感じさせる言葉が並ぶ。それは“不条理な死”を追求しながら、人間の業を描き、命の重さを伝える同作とリンク。
クライマックスを迎える印象的なシーンで流れ、視聴者にも大きなインパクトを残すなど、演出に欠かせない大事なピースとして機能していた。
「1話の仮編集が終わり、劇伴音楽も入った状態の映像も観ていただいて、『このタイミングで、ここに曲が入ります』という説明もしました。そこで1回出来上がったものをさらに練り直していただいて、主題歌の『Lemon』が完成しました」
新井順子プロデューサーのコメント
◆まだまだあった今年ヒットしたドラマとリンクする名曲たち
▼菅田将暉「さよならエレジー」
『トドメの接吻』(2018年1月期)
脚本:いずみ吉紘
出演:山﨑賢人、門脇麦、新田真剣佑、新木優子、佐野勇斗、志尊淳、菅田将暉
主題歌:菅田将暉『さよならエレジー』
山崎賢人が連ドラ初主演を務めるラブサスペンス。愛を信じず、金と権力を追い求める“クズ男”旺太郎(山崎)は、突然現れた謎の女(門脇麦)に“死の接吻”をされ息絶えるが、次の瞬間、7日前にタイムリープする。
「さよならエレジー」は、菅田将暉が抱いたイメージをもとに、ドラマのために制作された楽曲。孤独の中で見出す愛情のカタチにもがく様子を真っすぐにぶつけた、菅田らしい切ないロックナンバー。
「さよならエレジー」(2月21日発売)がロングヒットを記録している。配信数は累計20万ダウンロードを超え、ミュージックビデオのYouTube再生数は2,000万回を突破した。
2018年3月27日時点
▼星野源「アイデア」
『半分、青い。』(2018年度前期)
脚本:北川悦吏子
出演:永野芽郁、佐藤健、中村倫也、清野菜名、志尊淳、矢本悠馬、奈緒、井川遥、豊川悦司
主題歌:星野源「アイデア」
北川悦吏子脚本のオリジナル作品。ヒロイン・鈴愛(すずめ)が高度経済成長期からバブル期、そして低成長時代へ、幾多の失敗にもめげずに七転び八起きの人生を駆け抜ける姿を描く。
大ヒットを記録している星野源さんの最新曲「アイデア」が、Billboard JAPAN HOT100で2週連続1位を獲得した。パッケージリリースなし、配信限定の総合チャート2連覇は史上初の快挙だ。
2018年9月5日時点
主人公・楡野鈴愛(永野芽郁)が人生の様々な出来事に出会うたび、明るく乗り越えていく力が視聴者にも伝わるような、そんな後押しをする楽曲。
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