◆かつては1年や半年放送が珍しくなかった連続ドラマ
『ありがとう 看護婦編』(1972-1973)
脚本:平岩弓枝
プロデューサー:石井ふく子
出演:水前寺清子、石坂浩二、山岡久乃
*民放ドラマ史上最高の視聴率56.3%
かつて連続テレビドラマには、4クール1年間、あるいは半年間という長編の作品も多かった。
2クールのドラマは、TBS系では「赤いシリーズ」(「赤い疑惑」「赤い運命」「赤い衝撃」など。1974年から80年にかけて放映)、日本テレビ系では「傷だらけの天使」(1974年)や「探偵物語」(1979年)などがあげられる。
『ありがとう』 第2シリーズ(看護婦編)
放送期間1972年1月27日 – 1973年1月18日(52回)
◆バブル崩壊後、3か月1クールで10~12回が定着
最近、ひとつのドラマが連続で放映される期間が1クール(四半期)となり、放映回数は10~12回というパターンが定着している(NHKの大河ドラマを除く)。
バブル経済が弾けた後の1990年代半ばからは、11回ドラマとして四半期ごとに改編されるようになりました。
◆背景にはテレビ局や俳優側のリスク分散などがある
アフロ
Fuji TV flags on display outside its building in Odaiba on March 23, 2017, Tokyo, Japan. (Photo by Rodrigo Reyes Marin/AFLO) by 写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ
フジテレビ
視聴者につまらないと思われたドラマを半年放映するのはリスキーである。それよりも、半年に2種類のドラマを放映したほうが、リスクが分散される。
視聴率低迷やスポットCMが集まらないなどで“途中打ち切り”になると、局のイメージも下がるし、出演していた俳優などに恥をかかせてしまう。
撮影で長期間拘束されることを嫌がる、プロダクションと俳優側の都合だという。
◆そんな中、1年間の帯ドラマに挑戦する『やすらぎの刻~道』
やすらぎの刻(とき)~道 番宣 CM 1分版『やすらぎの郷再び』配信
出演 石坂浩二,浅丘ルリ子,加賀まりこ,八千草薫,清野菜名,柳葉敏郎 他
cm.bb-navi.com/seinonana.html pic.twitter.com/IRtL7oZqWb
1年間に渡って放送される帯ドラマは、NHKの連続テレビ小説『君の名は』(1991年4月1日~92年4月4日)以来となる。
◆半年間の帯ドラマとして好評だった『やすらぎの郷』の続編となる
本作は2017年4月から9月に放送されたドラマ「やすらぎの郷」の続編。
帯ドラマ第1弾となる『やすらぎの郷』は2クール放送。物語の舞台は、テレビ人専用の老人ホームで、そこに集うのは全盛期の映画、テレビ界を支えた俳優、作家、ミュージシャンたち…。かつての大スター集団が繰り広げる、ノスタルジー漂う人間喜劇。
シニア世代のみならず幅広い年齢層から絶大な支持を集めてきた。さらに、「東京ドラマアウォード2017脚本賞」や「ギャラクシー賞9月度月間賞」を受賞し、大きな話題を呼んだ。
◆『やすらぎの郷』と劇中劇『道』の2つの物語が同時進行
『やすらぎの刻~道』は、『やすらぎの郷』の主人公・菊村栄(石坂)が執筆するシナリオ『道』が映像化されていく――という内容になる。
石坂浩二
菊村が筆をとりはじめた新たなドラマ『道』は、山梨県のとある山間の村を舞台に昭和、平成を生き抜いた無名の夫婦の生涯を綴るもので、テーマは“ふるさと”。昭和初期からはじまり、戦中、戦後、平成という時代の移り変わりを、1年間をかけて描く。
場所も時代も違う2つの物語が同時進行して、しかもそれが入れ子細工になっていく。
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