■昔、プールから上がったら水道水で目を洗っていませんでした?
学校のプール横に設置されている洗眼器。以前は、プールのあとは当たり前のように洗眼器で目を洗っていました
我が国の水泳プールには洗眼設備を設けることが義務づけられており、また一般的に水泳後の洗眼が推奨されている
■しかしこの行為、あまり推奨されるものではない
現在、多くの学校やスイミングスクールでは、「プールのあとは水道水で目を洗うように」とは指導していません。
水道水で目を洗ってはいけません。よっぽど目にゴミが入った時以外は、目というものは洗ってはいけない
■もちろん、プール以外でも「水道水で目を洗う」という行為はNG
涙の成分の中に乾燥を防ぐ油性分や、ムチンなどの角膜を守ってくれる成分があります。目を水で洗うと、これが洗い流されて、角膜が傷みます
水道水には、塩素が含まれています。感染症を引き起こすウイルスや細菌、病原微生物を消毒するためですが、その塩素が、目の表面を傷つける
涙の中には、さまざまな物質が含まれています。各種の栄養素も含まれていますし、角膜を保護したり再生を促すような因子も含まれていますし、細菌の侵入を防ぐ免疫成分も含まれています
これらを洗い流してしまいます。
■目をガードしている「ムチン」を洗い流してしまう
目の表面の摩擦を和らげる働きをしてくれるのが「分泌型ムチン」、その内側にある水分を目の表面全体に行き渡らせる働きがあるのが「膜型ムチン」
ムチンは、涙の構成成分の一つで、涙が流れ落ちていかないようにしたり、ウイルスや細菌などの感染を防いだりしています。
涙成分の中の油性分やムチンなどの角膜を守ってくれる成分が水で洗い流されると角膜が傷みます
■菌で汚染されている可能性もある
私たちが毎日使う水道水-もちろん塩素消毒された水道水ですが、この中にたくさんの細菌が生息していることはあまり知られておりません。
水道水は無菌ではありません。浄水場を通ってきて、消毒もされているのだからきれいだろうと思われるかもしれませんが、一定の菌数以下というだけで、無菌ではありません
水道水の中には、細菌類が含まれている場合があります。また、水道管を通ってくるので、鉄サビなどいろいろな異物が混ざる可能性も…
■とはいっても、異物が侵入した際には目を洗うという行為が必要になる
とは言え、目にゴミが入って痛みで目を開けていられない!というときは、すぐに洗い流さなければいけません。
目にゴミやまつげ、洗顔石けん、シャンプーなどが入ると、とても痛いでしょう。この場合は、水道水でムチンを洗い流すことよりもさらに、目を傷つける危険性が高くなります。
このような時は水で洗い流しましょう。
とくに、薬品類や毛染め液、除光液などが目に入ったときは、痛みや異常を感じていなくても、眼球が傷ついている場合があります。可能なら、流水で10分以上洗ってください。
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