◆ベーシックインカム
ヨーロッパでは18世紀末から議論されてきたが、日本でも新しい社会保障の考え方として近年、急速に関心が高まり、一部政党のマニフェストにも採用された。
▼社会主義と同じではない
社会主義体制のもとでは、他の人より多く働いてもその分は自分に返ってきません。「皆平等」でなければならないので、収入に差が生じることは認められていないのです。
一方で、ベーシックインカムの場合は、衣食住に必要な最低限の収入に限っては皆平等でありながらも、自分の仕事によって得た収入は自分のものとなります。つまり、「ベーシックインカムは皆平等だけれども、自分で稼いだお金は自分のものになる」のです。
▼ベーシックインカムには様々なメリットがあります
★行政のコストを減らせる
現在、日本の社会制度では複雑に入り組んだ保障などがあり、存在に気づかない、使い方がわからないことがあります。それをベーシックインカムに一本化することにより、明確化することが可能になります。
例えば、公共事業。公共事業は、失業対策や景気対策の一貫で行われることが多々あります。この公共事業は、利権とも絡み合って地元に公共事業を持っていくために政治家たちは頑張ったりします。公共事業を景気対策という名目で使えなくなるので、無駄遣いが少なくなるメリットがあります。
★労働からの解放
ベーシックインカムは、一律に一定額が支給されます。最低限の生活が給付された現金によって保障されるため、無理をしてまで働く必要はなくなります。
今はブラック企業などが問題視されていますが、もし労働環境が悪い企業で働かなくても生活ができるとなれば、ブラック企業で働く人はいなくなっていくでしょう。
★核家族の減少
ベーシックインカムって、大人だけでなく子供も含めて全国民がもらえる。なので、子供や家族が多ければ多いほどたくさんベーシックインカムがもらえる。これって少子化ストップにかなり効果的ですよね。また、家族がまとめて住んだ時のお得感もアップ。
これにより、核家族化にストップがかかり、昔ながらの大家族も少しは復活するでしょう。他にも、子供にも支給されるので、シングルマザーやシングルファザーにとっても心強い味方となってくれます。
▼カナダでは実験を行い、良い結果が生まれた
あまり大きく報道されることのなかったベーシックインカム導入の成功例として、1974〜1979年の間にカナダで実験的に行われた「Mincome」があります。
AP通信の取材に対しTim Buttonさんはベーシック・インカムの支給が「多大な変化」をもたらしたと回答しています。Buttonさんは以前警備員として働いていましたが、屋根から落ちて大けがを負って仕事ができなくなっていました。「支給は鬱を解消してくれ、私はより社会的になった」とButtonさんは語ります。
フィンランドでは、2017年1月1日から2年間にわたって2000人の失業者を対象に毎月560ユーロ(約6万8000円)を無償で支給するというプログラムを開始した。
そして、開始後半年で参加者の職探しへの意欲や精神的なストレスに、ポジティブな変化が起きていると報告されている。
完全導入にはまだ課題が多い現状です。しかし、地域活性化など目的が明確な上で条件付きのベーシックインカムにおいては、導入が広がるかもしれません。
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