■近年、大きな注目を集めている「ジビエ料理」
欧州では健康に良くおいしい「食卓の花形」と好まれ、滋味豊かな料理として提供するための猟や調理の方法が見いだされてきた。
脂肪が少なくヘルシーなうえ、高い栄養価を誇るジビエは、近年、日本でも人気が高まっている。
シカ・イノシシによる農業被害は年200億円に上り、全国で計110万頭(2015年度)が捕獲・駆除されているが、食肉利用は1割以下。
農林水産省は今月9日、シカ・イノシシの捕獲から加工、流通までを担うモデル地区として、北海道~九州までの17地区を「ジビエ利用モデル地区」に指定。
各地区では、解体・加工や保冷などの施設整備を支援し、ジビエの安定供給と流通網の構築につなげる方針。
■そんななか、日本赤十字社がある重要な発表を行った
日本赤十字社は3月9日、「E型肝炎ウイルスに対する安全対策へのご協力のお願いについて」という発表を出した。
「ブタ、イノシシ、シカの肉・内臓を生、生焼けで食べた人は、狩猟解体や食べた時点から6カ月間は献血しないよう呼び掛けている。
この注意喚起の背景にあるのは、ジビエに関連した”死亡事故”
多発性骨髄腫の治療を受けていた80代の女性が、輸血由来の血液製剤を通じてE型肝炎ウイルスに感染し、約100日後に劇症肝炎を発症して死亡。
この事例では、献血の2か月前にシカの生肉を食べた供血者がHEV感染に気が付かないまま献血を行い、検査をすり抜けて血液製剤化され使われたという。
HEV検査は感染率の高い北海道地区でのみ献血時の検査に組み込まれていたが、他地域での感染者による事故は発生していなかった為、献血時の検査に含まれていなかった。
■ジビエには危険性もある
ウイルス性肝炎の一種で、発熱、嘔吐などの消化器系症状を伴い、悪化すると劇症肝炎となって、死に至ることもある感染症。
E型肝炎ウイルスに汚染されたブタ、イノシシ、シカの肉・レバーなどの内臓を加熱不十分な状態で食べると感染する。
このほか、サルモネラ菌、腸管出血性大腸菌、寄生虫などのリスクがあり、重症の場合は死に至ることもある。
また妊娠している女性は、生まれてくる赤ちゃんに影響を与える可能性があるトキソプラズマにも注意が必要。
■生・加熱不十分で食すのは絶対NG!
衛生管理のガイドラインを順守した加工施設で処理された食肉を使い、調理器具を適切に扱い、十分に加熱することが重要。
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